第十六話
平成二十七年 十二月十七日
軍刀の言い分
大分、以前だ。『日本刀を二度蘇られた男 栗原彦三郎昭秀全記録』を
日本武道具の主から頂戴した。
http://webcatplus.nii.ac.jp/webcatplus/details/book/3017774.html
栗原彦三郎の生き様の芯には、日本刀は「日本精神の象徴」「国家鎮護の霊器」がある。
国家の存亡の折、全国の刀匠に軍刀増産を呼びかけたが、粗製を厳しく禁じた。
拙者のいま手にある軍刀は、その時代の一振である。
「軍刀」は<特別な刀>、「日本刀」に非ずとの言い分もある。
大東亜戦争開戦時から量産された因もあろう。
いまでは 「軍刀」を打つ刀工はいない。
それはそれでよい。
近代戦となった先の大戦でも、軍刀を装備した軍隊は唯一、日本帝国陸海軍
だけであった。
この事実を上記の言い分にかぶせる。
海軍の軍刀は実戦には無縁。しかし、飛行特攻隊員や「回天」搭乗員の
多くの写真(遺影)は軍刀を手にしている。
刀の地肌や刃文の観賞はよい。
しかし、軍刀を貶めることは、軍刀を手に散った特攻隊員を貶めることになる。
地肌や刃文の観賞の折は、この心情を忘れずに。
軍刀拵えの鞘 鞘尻は日本刀拵えより頑丈に作られている。
現代の<路上の有事>の刃物を振り回すキチガイを取り押さえるには、軍刀を刀袋に入れ、登録証を携帯し、路上を行くのがよい。