第十七話

平成二十八年 一月二十四日

 

日本の匠の源流は日本刀づくり

 

「勝った、勝った、勝った……」

あの「ドーハの悲劇」の地で

あのとき生まれたばかりか、まだ生まれていなかった子らが

勝った。

そのハイライトシーンをYouTubeの動画でみている

そのディスプレイの前に鎮座している

吾がPCの守り刀の脇差。

 

本身は室町後期の作。

刀装は江戸末期であろうか。定かでないが。

時代時代で、何度も何度の刀装しなおされ、

江戸末期には下級武士の腰にあった。

そう想像するに易い。  

 

しかし、その下緒は、

現代の一流の職人でさえ再現するには苦労するであろう代物。

 

泰平の江戸になり、刀身を収める拵えの技術が興隆を極めた。

鍔、目貫、小柄、笄などの技巧は作刀の冶金技術に劣らず

あのいい加減なユネスコ総会の承認など関係なく世界遺産である。

 

昨今、日本の匠がCool Japanの極みと持て囃されているが、

その匠の源流が平安末期からの刀鍛冶だとは言及されない。

 

伝統、文化、日本再生と……

口角泡を飛ばしている暇があるなら

一日、数万円の「小柄工房」で、

匠の源流の、その万分の一の体験をなされよ。

わかる者はわかる。

 

いまある日本文明の背骨に

日本刀が凛として直していることを。