第二十話
平成二十八年 四月二十七日
刀と靖国神社
桜吹雪が去り、目に青葉の新緑をまとった靖国神社。
能楽堂で全日本戸山流居合道連盟による奉納演武が行われた。
ガイジン観光客の一群が足を止め、見つめる。
かつて靖国神社境内に鍛刀所があった。
靖国刀である。
約八千振りの軍靖国刀(軍刀)が作られた。
国難の危機に[日本刀の記憶の遺伝子]が立ち上がる。
隣国の靖国神社云々に構える気はさらさらない。
[日本刀の記憶の遺伝子]を持つ同胞に構える。
靖国神社境内にとは云わぬ。
すぐ近くに鍛刀所を設けようではないか。
軍刀を掲げ、抱き海行く屍、山行く屍になった。
英霊たちがなにより喜ぶことだろう。
ニホンを発見したいガイジン観光客も
なにより喜ぶことだろう。