第二十一話

平成二十八年 六月一日

 

もし、所さんのジャンボ宝くじが当たったら

 

府中、大國魂神社奉納流鏑馬の季節がきた。

光陰<矢>のごとし、五回目を数える。

近場であることから毎年、観戦。今年は六月十二日(日)。

 

政権を取った鎌倉武家が、京の武官の古式を真似たのが流鏑馬。

貴族に負けぬとのデモンストレーション。

 

当然、「美しい形」を競った。が、武士である。戦さの模擬戦である。

的中しなければ逆に「美しい形」は笑いものになる。

 ここが現代弓道と、チト異なる。

 

鎌倉武士の弓の弾力はいかほどであったろう。

 大國魂神社奉納流鏑馬の“大将”籏谷嘉辰師(全日本戸山流居合道宗家)は50kg引くと言う。

 

三十三間堂(120メートル)で天井に当てず射通する。

貞享(168488.)の世にギネス記録、一万三千本。当然、丸一昼夜、不眠不休である。ざっと六秒に一射。

 

弓の弾力は70kg以上のはず。弓の厚さは一寸(約3cm)はあろう。

現代の“最強”の弓道家は何矢、射通できるだろうか。

 

比較するに益もない。武士はプロ集団である。

いまの世でも、小学生からボールを蹴り、投げておれば人並外れた技量が培われる。

 

拙者、もし所さんのジャンボ宝くじ、七億円が当たったら武芸のプロ化を試みる。

クロサワ・ファンのガイジンに「用心棒」のミフネの抜刀も在り得たことだと納得させる達人が出現するだろう。

「平家物語」の那須与一の扇の的を射落した技も実際在り得たとわかるだろう。

小学生から抜刀し、弓馬の道に励んだら。