第三十一話

平成二十九年四月十日

 

「銃剣道」指導要領に一言

 

四年後、日本武道具さんの木刀の隣に木銃が置かれる日がくるだろう。

明治三十年、イギリスの銃剣を模した銃剣がつくられた。巨体でイカツイ顔し

たロシア兵に童顔の160センチもない小柄細身の日本兵は挑んだ、挑まれた。

明治期から「大和魂」は小柄細身の元農工商日本兵の背を押すための思想宣

伝であった。

 

その昔、柔剣道テキストブックの重版の折、耳にした。剣道五段は銃剣道初

段に勝てない。「突き」では剣道は銃剣道にとって赤子のようなもの。

 

剣道をはじめて、 “剣道より強い” 銃剣道が普及しない因がわかった。

竹刀は日本刀の仮りの姿。木銃の剣先には刀匠の鍛錬、焼入れ、研師の研磨

など伝統継承のイメージがない。武士の記憶の遺伝子が蘇られない。

 

素手の柔道、空手でなく武器を手にした白兵戦を模倣してみるのもよかろう。

「日本青少年、武器を取れ!」と思想宣伝するのも良かろう。

ひとつ提案がある。剣道に位負けしない提案がある。

銃剣道のルールに「脇差をつけること」の一項を。木刀の小刀を腰に差す。

武士を気取った剣道は脇差を捨てた。二刀腰にあって武士。