血けむり
26日の「佐山サトルのサムライ育成塾一日講演」は当HPのご主人にも聴講いた
だいた。その模様は『武道通信』HPの掲示版、草莽奮戦日記で伝えてありますか
ら、省くとして余談。
27日、郷里から帰る車の中で「血けむり」という懐かしい言葉を聞いた。「旅籠
の仇討ち」という落語であった。
頚動脈を瞬時に切断すると大量の血が噴出す。その抹の様がけむりが立ち昇るように見えるのだろう。黒澤映画「椿三十朗」の最後の三船と仲代の決闘シーン。噴出した血の抹がけむりとなる。(あのシーン、血袋がやぶれ一気にあふれ出てしまったミスだったことは有名。たしかに胴を斬ってもあれほどの血は噴出さないだろう)
昨日の佐山さんの話を思い出したのだ。サムライとは「特殊階級」と云った。
精神性でないところで云えば便所、散歩のときも刀を離さない。「寄らば斬るぞ」の人間なのだ。まさに異様な人種、特殊階級である。
本来の非情さゆえ自らを律する道が生まれたが、サムライとはまずは「寄らば斬るぞ」の覚悟がなければならない。喧嘩両成敗といえども抜かなければならないときは死を覚悟して己の腰のもの抜き払う。
車の中で、サムライの原型を夢想する。いまの日本、政治家も文化人も<町人・百
姓>だらけである。
ここ日本武道具に立ち寄る御仁、あなた方、草莽の武術、格闘家こそサムライにな
れ! 佐山聡さんは云いたいのだ。
平成十六年 水無月之二十九日