“プロ格”総合格闘技の源流
「格闘技通信を創刊した者として、花開いた総合格闘技を喜ばしとことだと、対岸から眺めていた頃、前田日明と佐竹雅昭の対談があった。(20巻)
そこで巨大化したイベントとなり、テレビの前の“イチゲンさん”だけに傾いていることを知った。それが引いては格闘技の醍醐味が薄れ、格闘人気者が繰り広げるワイドショーと化してしいく姿がよぎった。
同時に20年前、従来の競技から「撃つ、蹴る、投げる」の総合格闘技への道を切り拓いた格闘家たちの顔もよぎった。
『格闘技通信』源流の旅と題して、創刊時に出合った格闘家たちに何年ぶりかの再会を果たし、彼らの軌跡を綴った。
その折、当あるじの角田さんに格闘技通信創刊号から8号までのバックナンバーをお借りした。当時の記憶といったら遠き山並みの輪郭だけであった。
このバックナンバーがなかったら、単に懐かしの邂逅で終わり、記述などできなかった。角田さんに感謝する次第である。
4篇を書き終え、小輩自身の週刊プロレスから格闘技通信、そして武道通信へに軌跡のエポックメーキングの路であったことを知ることができた。
先の3月26日、前田日明がK-1系のHeroのリングに立った。
前田日明の胸中を推し量れるものはあるが、前田―佐竹雅昭対談以降、“プロ格”がまたひとつ試練のときを向かえるような気がする。
いまここで、総合格闘技を夢見た者たちの志を広く知ってほしいと、この4篇を合併し、オンライン読本とした。
池袋には極真会館(松井章圭館長)や大道塾もある。日本武道店さんには格闘技通信の数年前の既刊号も置いてある。プロ格に憧れる若者も立ち寄ることだろう。彼らに格闘技通信の源流といまを見比べてみてほしいものだ。
追記:
総合格闘技と武道 ――『格闘技通信』源流の旅 杉山頴男
◇大道塾・東 孝の軌跡――格闘空手から空道へ
◇シーザー武志の「天」――格闘技でしか学べないものを伝える使命
◇安藤毎夫(養神館龍)の中心力――合気を日本人を育てる武道に
◇角田信朗の使命――グローブ空手の体系化
詳しくは武道通信http://www.budotusin.com/ 「オンライン読本」をご覧ください。
平成17年 弥生之二十九日